9.01.2011

イギリスの暴動と韓国製ヘッジファンド

聞いた話をベースにしてますので、自分自身による知識ではありません。間違ってるかもしれませんが、面白いなぁと思った話があったので、忘れないうちに記しておきます。

イギリスの暴動と韓国のヘッジファンド育成について、一見違うこの2つの話題ですが、実は共通点を見出して行くと面白い事例研究になるかもしれない、という話です。

マクロ的には、勿論イギリスの方が(かつての)先進国の雄ですので、大きいですが、市場構成要素として見た場合の地政学的要件では、実は似通っているかも知れません。イギリスは島国で韓国は大陸と地続きですが、物理的な距離を見たときに、日本も島国ですが、むしろ韓国の方が東アジア地域における大陸との関係性で言えば、イギリス的な位置付けに近いかも知れません。そうなると、比較研究がしやすいかも。

どちらも国内に資源は乏しく、イギリスは北海の油田が一応ありますが、産油国としては一般的には見られていない。それを考えると経済成長はクロスボーダーでモノ・カネ・ヒトを動かす事で、活性化するしかない。

イギリスで実際にそれをやったのが、サッチャー政権時代の金融ビッグバンで、その後ロンドンは一時期、金融市場の発展により潤いました。しかしリーマンショック以降長期トレンドとして続くレバレッジ縮小の流れは金融業にとってはマイナス要因になる一方で、他の主たる産業が軒並み滑落していったが為に、実質金融業だけが国の産業となってしまっています。その金融業もウインブルドン現象と揶揄されるように、基本的には国内発祥ではなく、ノウハウを外から持ってきているだけの形となっています。つまり、イギリス自体に競争力がある訳ではなく、大家さんとなってみんなに家を貸していただけ、という形に実質はなっていました。ところでポンドの下落や5%代のインフレにより、低所得者の生活水準は悪化を辿る一方。中堅層から高額所得層には重税をかけるも、福祉政策も手一杯になりつつもあり、社会全体の不満が溜まり続けるという最悪な方向に向かっている、とも見られるようです。その一つに、東ヨーロッパなどを中心とした移民流入があるかもしれない、との見方もあります。特に非アングロサクソンからの視点では、なかなかそれが目立つとも。先日起きた暴動騒ぎなんかも、イギリスで一体誰が?と私なんぞの素人は最初思いましたが、低所得者層にそういった人達が多い様です。EU域内であれば比較的ヒトの移動も自由です。しかも福祉政策の一環で、今イギリスの公立病院では出産費用が無料だとか。これを目当てに移って来ている人も結構いるのでは、との見方もあるようです。その人達がそのまま雇用され、経済成長の推進力となってくれれば良いのでしょうけれども、上記の産業酵素の問題もあり、一部の特殊なスキルを持った人以外には、厳しいマーケットとなっている様子。一方、スキル創出を行なうための教育ですが、財政難の為に大学授業料の値上げが行われた上、かつてのように教育ローンも組みにくくなっている、という多重苦に悩んでいるとのことです。ヨーロッパと言えばまずPIIGSの問題に着目されがちですが、ひょっとするとイギリスも相当フラストレーションが溜まっている状態なのかもしれません。

さて、韓国ですが、製造業を中心にして、アジア危機を脱却し、ここ最近成長を遂げて来ました。イギリスとの違いで言うと、金融資本の積み上げではなく、貿易に依存して成長してきたところでしょうか。イギリスがヒトとカネを軸にしていたのだとすると、韓国はモノの輸出を軸にしてきました。しかも最近はノウハウの輸出を国策としても掲げている様で、非常に急ピッチでトップダウンにより動いています。昨今の原子力技術の輸出であったり、金融の話題でいけば冒頭の件ですが、国策としてヘッジファンド育成を掲げている様子。それもdomicileとしての育成を考えているようです。その為、欧米の大手ヘッジファンドも軒並み韓国詣でを続けている状態だそう。ここでの課題は、早く技術を自分達の物とすべく、ノウハウの構築に躍起になっているらしいです。韓国の場合、というより東アジア地域全体の場合、と言った方が良いかも知れませんが、イギリスの置かれている状況とは違って、カネ・ヒトの国境を越えた移動によるモデルは、開放されきってはいないが為に、非常に限定的です。一方で韓国はヒトの輸出に関しては、とても熱心です。教育熱も高く米国などに子女を留学させる話は有名ですし、KARAや少女時代なんかを見ても明らかで、最初から海外市場を狙った戦略が取られています。ところが儒教の影響が強いせいだと思いますが、家父長的な色が濃いので、大韓民国の旗の元に不思議と強く纏まり、霧散していかない強さがあります。ここら辺、日本が失っている強みなのかもしれませんが。

こうして二国を比べてみると、何やら見えてくるものが出てきたような気がします。

共にグローバライゼーションの恩恵を受けて発展をしてきた二国ですが、知識の構築、蓄積の仕方の違いが生み出す成長モデルの違いは、非常に興味です。勿論どちらが優れていてどちらが劣っているか、という議論をここでするつもりはないですが、これからクロスボーダーを軸とした成長の絵を描く際には、この2つの例をよーく見た方が良いだろうなぁ、と、こう思っている訳です。企業レベルでの戦略構築でも、少なからず役に立つ比較事例なのではないか、と感じます。

ただ不勉強で書いてますので、事実の誤認識等もあるかもしれませんので、頭の体操を超えないかとは思いますが、念のため。。

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