11.06.2008

Power to the young people

オバマ氏、蓋を開けてみれば圧勝でした。

この選挙戦をどう分析するか、には色々な見方があるのだと思いますが、単純に共和党と民主党の戦いではなかったような気がします。オバマ氏は民主党員ですが、ヒラリー・クリントンのそれとは全く異なるものですし、いわゆるリベラルという気安い言葉では語れないものがあるような気がします。ちなみに気安いリベラルというものに対する反発心は私は人一倍強いです。なので、頭でっかちなリベラリズムには軽蔑すら覚えますが、一方でコンサバティブかと言えば、どちらかというとリベラルです。矛盾しているじゃないか、と以前は思っていましたが、このブログでも紹介した佐藤優氏の「自由主義的保守主義者」というポジショニングに一番近いと思います。あんまりそこのところ触れすぎると本題からずれていくのでそれはまた今度にしますが、オバマ氏もきっと「自由主義的保守主義者」という考えには賛同してくれるのではないか、と思っています。ネオコン主義者達が巻き起こしてきた21世紀初頭の大騒動に決着をつけるべく現れた良心であることを期待しています。

そして何よりアメリカという国には底力があるな、と思わされたのは、やはりこういう人が現れて大統領にまで上り詰めることの出来るシステムとそれを動かす民意です。今回オバマ氏が若い層からの支持を特に受けているという報道を多く目にしましたが、まさにそこが今の日本との大きな違いかと思います。何がその違いをもたらすのかは、未だはっきりとした答えを持ち合わせていませんが、ひとつ言えることは日本の若い層(自分たちの世代+もう少し上くらいまで、という意味ですが)は、自分も含めて、国への期待を持っておらず、また多くは声を上げることすらやらなくなっている(しらけている)ということです。何かがおかしいことは誰もが分かっているけれども、それを国が変えてくれることだとは期待していない、というか何と言うか。ワイドショー化されてしまった政治、というのが一番それを物語っていると思います。テレビへの政治の露出は増えたけれども、それは茶番に成り下がったからであって、真剣に政治を討論する目的ではなく、今日もどっかのアホ面が吠えてるなぁ、というのを面白おかしく家で見物するためのツールにしか過ぎなくなっています。自民対民主の揚げ足取り選手権、のような。

今本当に必要なものは何か、ってことを考えると、若い力が希望を持つことだと思います。残念ながら還暦前後の団塊の世代は、もう戦力外通告なわけです。彼らの意見というのは明るい日本の未来のための建設的なものではなくて、余生のための自己保全にならざるを得ない(それを非難しているわけではなく、いつでも人間は自己中心的なので)。でも人口比的に、圧倒的に彼らの力が強いわけですし、主だった政治家もその世代を代表して出てきています。そんな人たちを通じて若い世代の声が政治に反映されるわけもないし、第一明るい未来なんて、その人たちには本当に親身になって描く力はもうないわけです。

オバマ氏がこの選挙を通じて訴えてきたのは、政策的なもの云々より、そこの部分なんじゃないかと思います。キャッチフレーズの"CHANGE"ではないですが。極端な話、政策なんてどうでも良くて、メッセージとしてアメリカを何とかしなきゃ、若い人間が立ち上がらなきゃ、という気持ちが前面に出ていました。しかもそれがマイノリティ出身という今まで虐げられていた出自からの出馬となれば、よりサポートが得やすかったのでは。でもどちらかというと、個人的には初の黒人大統領とかっていう事実よりも、前者のメッセージ性の部分がより重要で、今後5年くらいの中で21世紀のグランドデザインをやり直さないといけないのだと思います。

冒頭のコンサバ対リベラル、というところに戻ると、オバマ氏は意外とコンサバだと思います。でも、それって皆でまとまっていくためには、本当はすごく大切に守らなければならないことです。変革をするにも保守をするにも。なぜなら最終的に心の拠りどころがないと、色々な人の集まりなんていうのは簡単にバラバラになってしまいます。異質なものを纏め上げて動かしていくためには、「良心」が必要で、「良心」はいつの世もそう大きくは変わらないものだと思っています。

Power to the young people.

この国でも若者が良心を持って立ち上がることが出来たら。。。何かが大きく変わると思うのですが。

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