美智子さまの恋文
「美智子さまの恋文」を新幹線の中で読んだ。今上天皇の同級生で共同通信社の記者である著者の作品。御上の婚姻問題を中心に、知られざる皇族のプライベートな出来事に深く迫っている。
この本を読んで、皇族に対する見方が一つ変わった。それは皇族の役割について。日本の象徴としての天皇制は、小学校も高学年になれば習うことだ。でもその頃は象徴って何だ?と思ってたし、皇族という人間を君が代や日の丸と同じようにシンボル化させるには、ちょっと想像力が足りなかった。しかし、実は、皇族の人々も内部で同じように悩んでいるのだ、という事実を知って、ある意味で合点がいった。つまり、事実として脈々と続いている高貴な血筋がある一方で、フラット化してしまった現代社会において、その血が持つ意味を再び問われている。昔であれば、それは神格化してしまうという単純な作業で、国の統率をも簡単に行なうことができた。しかし天皇も人間であることを国民の誰もが理解している今、この血が持っている意味というのは先代が残してきた文化的遺産なのかもしれない。皇族一人一人の人間性とはまた別個のものとして。
自分にとっての天皇制がまた違う意味に見えてきた。
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