5.04.2007

Iwo Jima





すごい身勝手ではあるけれども、今日この時代に生まれて良かったと思う。本を一番最初に読んだのだけれども、かなりエグかった。映画は若干マイルドになっている。実際の戦場の凄惨っぷりを映画で描くことは出来ないだろうし、人々の記憶として薄れてきてしまっているから、今更、何を作っても作り物に見えてしまうのは仕方がない。ただ、映像は容易に想像力を働かせるに余りあるほどにきちんと作り込まれている。

当時の人は何を思って戦っていたのだろう?今同じ状況に自分が立たされたとしたら、何の為に戦うだろう?作品中に出てくる「正義と自分が信じるものが正義」という言葉は真実だと思う。自分達が信じていたもの、国家であれ仲間であれ家族の安全であれ、当時あそこで戦うこと自体が正義だと信じて、あの島で信じられないような殺し合いがあったわけだから、何で投降しなかったんだろうとか、何で無意味に白兵戦を繰り広げていたんだろうとか、考える事自体がナンセンスなのかもしれない。

一番の作り物は国家のプロパガンダだったのだろう。暴走した日本の軍部であったり、作り上げられたヒーローを利用して金集めに奔走する政府だったり、そういうものが作り上げたプロパガンダ(正義)を信じるしか手段がないような極限状態に人々が置かれてしまっていたことが最大の悲劇だ。

さて、少なくとも自分達の身の回りには戦争はなくなったけれども、代わりに蔓延っている正義は一体何だろう?

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