7.22.2007

半藤 一利 昭和史

昭和史 1926-1945は2冊ある著者の昭和史を語った本のうちの前半部分。自虐史観的ではあるが、「暗黒の時代」を著者自身も生きてきているので、それなりの説得力を持った歴史の本だと思う。

ただ、やっぱりまだあまり分からないのが、戦前日本のシステムが果たしていけなかったのかどうか、という点だ。天皇制と軍政以外に関してはあまりこの本ではシステムに関しては語られないが、憲法改正云々が問題になっている昨今、もう一度戦前の日本のシステムに関する考察はきちんとなされなければ、ただ闇雲に現行制度へのイエス/ノーは言いかねるのでは?この本が検討した「無謀な戦争」に突入して行った原因は、国民の狂気、観念論の重視、小集団主義(軍部のエリート達を指している)、自己過信などといったものに落とし込まれていた。軍政というシステムは欠陥であっただろう。具体的に本書が指摘している内閣の組閣が陸海軍の同意を得なければ不可能になっていった経緯に関しては、対米英戦争前に陥ってしまった落とし穴であったことは間違いない。ただそれ以外のシステムは、司馬史観ではないが、少なくともその前まではうまく行っていたのではないか?であれば一体何が??

歴史にもしはないので、勝てば官軍はそのまま飲み込むしかない。この場合、負けた賊軍である日本は、自己否定によって生き長らえていった。しかしそれも行き詰まりを見せている今日この頃、ただもう一度見直しが必要なだけだと思う。国家とは何か?日本が立っている足下は何主義なのか?

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