7.30.2007

参議院選挙を終えて憲法を考える

選挙の前に樋口陽一氏(憲法学者)による個人と国家―今なぜ立憲主義か (集英社新書)を読んでいた。少し古い(2000年)著作だが、憲法とは何かを考えるには良い読み物だ。ただ少し欧米迎合主義的な書き方には納得しかねる部分もあったが、そういった著者の個人的な主義を超えた部分で、個人と国家の在り方を定める憲法をもとに国(国民)はあるべき、というこの本の枠組みは非常に分かりやすく良い本だと思う。

憲法は国民と国家が結ぶ契約のようなものだ。ただ契約を結ぶ主体同士(国民と国家)は、どちらかといえば抽象的な概念に過ぎず、例えば個人と時の内閣、というような狭い範囲で考えると、すぐに変更したり、破棄したり、といったことができてしまうようなイメージになってしまう。それはその国民と国家との間では半永久的なものであり、好むと好まざるを問わず国民であればそれに基づいた行動をとらなくてはいけない。(嫌なら国民であることを止めるべき)

ただ、憲法は一般に大枠を定める物であるから、細かい点においては他の法律などでカバーされる。時間が経つにつれて国民の生活様式の実態や国家の体制と憲法の間の矛盾点は生じてくるが、日本ではあまり矛盾点のチェックがなされてきていない気がする。時代を超えた概念とはいいつつも、やはり時代を超えて変わってしまったものには対応していかなければならない。

さて日本において国民と国家の契約である日本国憲法は一体全体どうなっているんだろうか?また憲法制定当時と今では社会情勢も大きく変わってきている。昭和35年には全世帯数の約半分だったいわゆる普通のサラリーマン家庭も2000年である平成12年には(サラリーマン引退世帯も含めて)8割は固い(統計局のデータより推測)。つまり国家と国民の直接的な関係より企業と国民の関係の方が強まっているのが実感では?そんな中でもう一度国民として国家にこうあって欲しい、国民が一方で果たす義務、などを考えるべきなのか、と、どちらも表面的な主義・主張に聞こえてしまう「二大政党」の政策に対して感じてしまった。(ただし改憲が選挙の争点だと考えた人は少なく、どちらかといったらカネの問題に終始してしまった感があるが・・・)

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